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仕事をさせられる女性たち [日本の不幸]

 「男女共同参画社会の実現」、「男女平等社会の具現化」などの謳い文句で、女性が労働力として動員されている国、日本。今や、女性の過半数が労働力として利用されている。特に20歳代-40歳代では8割を超えており、「専業主婦」という言葉はある種のセレブリティ的表現となっている。
 しかし、多くの女性が働くことが本当の「男女平等」「男女共同参画」なのだろうか。単に綺麗な言葉で女性に労働を強いているだけではないのか。しかも、それが日本の貧困化と教育水準の低下を招いているのではないか。
 実際、多くの仕事を持つ女性が、「子育てに専念したいが、夫の給料では・・・」と言う。では、なぜ多くの男性の給与が低下しているのか。バブル期を経験し、日本全体の消費傾向が拡大したままで、家計が逼塞しているということもある。また、バブル以降、合理化や機械化、コンピューター化で人員が減少し、社会が必要とする労働人口が減少しているのに、実際に労働する人口が増え、少ないパイを奪い合う状況となり、労働力の過剰供給状態になっているという面もある。そして、バブル期に労働力を確保するために、「女性の社会進出」などというキャッチフレーズのもと、「男女平等」「男女共同参画」などの言葉とともに労働力として動員された女性という労働力が今や余剰な労働力となりつつある。安易な仕事は女性に、専門的な仕事は男性という住み分けを行ってきたが、結果的に、過剰な労働力の供給が人件費を押し下げ、夫だけの給与では不足する家計を生み出した。
 女性が働きに出ることで、男性の仕事が減少し、夫の給与が低下、その妻は、減った夫の給与の穴埋めに働きに出て、さらに男性の仕事が減少するというスパイラルが発生している。日本の経済が右肩上がりの成長を続け、労働力が必要とされる時代であれば、それでも良かったが、日本と国が必要としている労働力は減少傾向にある。そこに、男女の雇用競合が発生し、労働力の過剰供給が人件費を低下させ、正規雇用を減少させ、派遣社員、契約社員を増加させている。
 たとえば、昭和40年代、50年代に、正規雇用の男性が一人でしていた職種でも、今は、男性派遣社員と女性パートが分担しており、元来であれば、正規雇用の社員の固定費が40万円程度の仕事を固定費20万円程度の派遣社員と固定費8万円程度の女性パートに担当させ、10万円前後の固定費が浮くと試算できる。それを効率的に行うことで減収増益という企業経営が成り立つようになり、この10年、それらを推し進め、減収でも増益にする経営者が優れた経営者とされてきた。しかし、これでは、国民の富は減少するばかりで、結果的に、国内の購買力を低下させ、日本の国は内需が拡大せず、輸出に頼る体質がさらに強まった。
 その結果、結婚するに足る給与を受け取ることができない若年層が増加し、非常事態と言われる就職難を生んでいる。多くの若年層が正規雇用されず、契約、派遣という形態での不安定な雇用に甘んじ、世帯を持つことができないでいる。
 そして、世帯をするには、夫婦共働きで少ない収入を寄せ合わせて生活するしかないという状況を生んだが、それが労働力の過剰供給を招き、さらなる給与水準の低下を招いている。
 また、子育てに専念し、家事に専念したい女性が労働に駆り出されることで、家庭内には寒風が吹き、子どもたちは躾もされず、保育園に預けられ、小学校になれば、誰もいない家に帰宅し、難しい思春期、学業の悩みも、友人間の悩みも一人で抱え、何かの端緒で暴走し、ルートから外れていく。
 実際、最近、若い人たちの凶悪犯罪の背景に、親不在の家庭がある。凶悪犯罪者の家庭の多くが両親共働きであったり、離婚などによる片親世帯で家に親の影のない家庭の出身者が多い。
 日本の「男女平等」「男女共同参画」は間違っている。本当の意味での「男女平等」とは、相互理解、相互尊重が基本であり、妻は夫の仕事を尊重し、夫は妻の家事、育児を尊重し、感謝しあうことだ。それを、わが国では、妻も仕事をし、夫も家事、育児を手伝い、双方の分業を分けずに、並列でするようにして、性差を無視し、男を女性的に、女性を男性的にすることが「男女平等」だと定義づけた。その定義づけの誤りが、今の日本の社会の行き詰まりの原因だと私は考える。
 夫は仕事、妻は家事、育児と分業することが、健全な社会の再構築に必要なことではないか。とはいえ、事情によっては、妻は仕事、夫は家事、育児でもよいが、共働きは子供の将来を考えるならば避けなくてはならない。それを社会としてできる体制を整えることこそ、政治の役割ではないのか。
 女性を強制的に労働させる現在の社会の在り方は、決して日本に明るい未来を用意してはいない。そして、何より、現状は「男女平等」「男女共同参画」社会の実現ではないし、その方向へ歩んではいない。
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