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光市母子殺害事件、高裁死刑判決 [裁判]

予想通り、光市母子殺害事件で求刑通り『死刑』が下された。

当然の結果と言えると思う。しかし、それは市民感覚での話だ。今まで、司法の世界では『永山基準』といわれあるものが罷り通っていた。

その『永山基準』では未成年の場合、4人以上殺害していない場合は死刑とはならないとされている。その点で、今回の事件のように2人しか殺害していない場合では死刑は適当ではないとされている。

しかし、被害者とその遺族の感情を考慮すれば、何人が殺されたかは関係ないはずだ。

一部では、『厳罰化』の流れだとされているが、事実はそこにはないのではないかと思われる。事実は、今回の事件の残虐性、計画性などが影響したことは間違いない。また、被害者の本村氏の被害者の感情も考慮されただろう。妻と子を同時に失った被害者の遺族(夫)の悲しみを思いを考えれば『死刑』を望むのは当然だろう。

また、裁判の経緯もある。一審、二審で一度は認めていた事実関係を最高裁からの差戻し後に覆したことが、被告にとって不利となったことは間違いない。真摯に反省していないと判断されるのは当然である。

弁護を担当した大弁護団は結果的に『死刑』という判決を引き当てたと言える。弁護団は判決後の記者会見で、高裁は最高裁の指示のままに動いたと批判しているが、そうではない。弁護団の戦術が事実を新たな『真実』で糊塗してでも『死刑』を回避しようとした醜悪さが、結果的に被告にとって不利益に働いたといえる。

現在の大阪府知事である橋下徹氏が当時のマスメディアで話した弁護士としての品位を傷つける行為と語ったこの大弁護団の品位は充分に懲戒に値するものだったが、弁護士会という閉鎖された社会では妥当なものという評価で懲戒にされなかったが、結果的に、この裁判の判決は、大弁護団の戦術、要するに被告人に虚偽の証言をさせてでも死刑を回避しようという品位なき作戦が、真摯な反省をせずに、事実を隠蔽し、虚偽の申し立てを行う被告人には更正は期待できない。死刑が妥当であるという判断を裁判官にさせたと言える。

朝日新聞および朝日テレビなどの報道では、『死刑』は不当であるという論調で語られている。永山基準を逸脱しているというコメントもあったが、本村氏が記者会見でも述べたように、永山基準は法の規定ではなく、あくまでも、法律の運用上の慣例でしかなく、変更は容易にされるべきである。世の中には悪しき慣例などというものは幾つもある。タブーを恐れる必要はなく、今回の判決は妥当な判決であると言える。

なぜなら、死刑に限らず、刑が軽い状態が続けば、世の中の秩序が乱れる可能性が高い。私は何も、厳罰化すれば犯罪が減少するなどという厳罰化に犯罪の抑制効果があるなどと言うつもりはない。ただ、重大犯罪において刑が軽ければ、所謂、『敵討ち』的な個人による報復が行われかねないという現実があるということだ。本村氏が過去に同じようなことを述べているが、そうならないという保証はない。被害者の遺族の感情はそれほど深刻であるのに、長い間、それを放置してきた。なぜ、そんなことが起こったのか。それは間違った『人権重視』にあった。加害者の人権を擁護するあまり、被害者の人権やその遺族の人権を軽視してきた。そして、その結果、死刑を回避するのが当然という社会の情勢を形成させ、さらに、死刑判決を受けた受刑者への死刑の執行を命じた法務大臣に対してさえ批判を行うというマスメディアの体質を作ってしまった。

人の命は尊いかもしれない。しかし、それは加害者だけではいけないのだ。被害者の命も同じく尊いはずなのに、それを忘れ、見ないように仕向けることで刑事裁判を担当する弁護士という商売は成り立ってきた。それに、マスメディアも安っぽいヒューマニズムで乗ってきた。しかし、この事件以来の本村氏の一連の言動はそれを覆す端緒となった。そして、今まで大人しく泣き寝入りしてなければならないとされていた被害者の遺族や被害者が立ち上がり始めた。この国の人権意識が是正される端緒がここに開かれたと私は思っている。

「罪を憎んで人を憎まず」という言葉がある。今日の本村氏の記者会見にもこの言葉と通ずる発言があった。確かにその通りだ。罪を憎むべきで、その人を憎んでも何も解決されない。しかし、そうあるためには、その人がそれなりの罰を受けなくてはならない。罰を受けた人間を憎まないことはできるが、罰を受けない、不当に軽い罰しか受けていない人間に対しては被害者やその遺族は憎しみを覚えてしまうことは避けられない。『罪を憎んで人を憎まず』という言葉の条件としてその前段階として『充分に罰を受けた』『充分に悔悟した』という事実が必要だということだ。

それらのことから、今回の高裁判決を私は支持する。


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