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キレる60代 [社会]

今、キレる60代という問題がある。

論語に『子曰、吾十有五而志於学。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。六十而耳順。七十而従心所欲、不踰矩』という一節がある。60歳は不惑を過ぎ、天命を知り、耳順を迎える。耳順とは、「学問修養も進み、自分と異なる意見言説にも素直に聞き入れられるようになること」だ。その年を迎えて「キレる」というのはどういうことなのだろう。

今の60歳代は1939年から1948年まで生まれている。そのため一部は団塊の世代(1947年から1949年生まれ)とも重なる。ちょうど、この世代は、大学時代に『60年安保闘争(1959-1960)』に始まった学生運動(1959-1969)を経験している。

この学生運動をどう評価するかは未だに定まってはいないが、学生運動が華やかなりし頃に学生であった人たちが所謂『キレる60代』なのである。若い頃はやんちゃだった人たちが今また、定年を迎えてやんちゃに戻ったのかもしれない。というより、会社勤めの間は、猫の毛皮か羊の毛皮を着ていただけで中身は昔のままの狼だったのかもしれない。

それが定年を迎えるとともに抑圧されてきた狼の本性が爆発しているだけなのかもしれない。しかし、このところ60歳代が引き起こす事件が多い。

昨年11月の香川県坂出市で祖母と孫3人が惨殺された事件の容疑者は61歳。先月の鎌倉であった夫を竹刀で殴り殺した大学講師の容疑者も61歳。そのほか探せばいくらでも出てくるのですが、何が原因なのか。

そのほかの世代でも、40歳代、50歳代でもキレる現象はあるのですが、40歳代は中間管理職として抱えたストレスが原因といわれ、50歳代はさらに上の管理職となり仕事は部下の後始末という状態など、いろいろ原因は言われています。しかし、60歳代は定年を迎えて会社からストレスから比較的解放されているはずなのですが。

やはり、昔の血潮が甦っていると考えるのが正しいのでしょうか。

確かに暴れ方に特徴があります。病院で机の上に載って事務用品を蹴飛ばしたり、椅子を抱えあげて投げる、竹刀を振り回して怪我をさせるなど、比較的単純な暴力事件が多く、しかも多くが素面です。40歳代や50歳代のキレるというのは多くが酒の上であることが多いのとは対照的です。

心理学を勉強している友人は以下のように言います。

「所謂『遅れてきた世代』というやつではないか?たとえば、江戸時代の初め『傾き者(かぶきもの)』と呼ばれた人々がいる。己の力一つで一城の主になれた戦国時代が終わり、安定期を迎え、遅れて生まれたという意識が短絡的な暴力と自暴自棄の命のやり取りという風潮を生んだ。今の60歳代は第2次世界大戦に遅れてきた世代だ。少し前までは戦争で国家の存亡の一戦という世相だったのが、敗戦で一転、平和国家の建設という安定期を迎えてしまった。これは戦国時代が終焉を迎え、江戸幕府が開かれた当時の状況に似ている。今の60歳代が学生の頃に暴れまわっていたのは、江戸時代の初めに暴れまわっていた『傾き者』と同じような心理状態ではないか。水野十郎左衛門が「神祇組」を率いて江戸の町で傍若無人に振舞っていたのと同じように、「全学連」は昭和の「神祇組」として大学のキャンパスや永田町界隈で傍若無人に振舞ったのではないか」

確かにそうなのかもしれないが、ではなぜ60歳を超えて昔に戻るのか?確かに60歳で還暦を迎え、61歳は『本卦還り』と言いますから、元に戻ってしまったのかもしれません。


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